統合失調症
症状や治療について
幻聴と妄想を中心に、下記のような症状がいくつかみられ、どういった症状が出るかは患者さんによって様々です。
・幻聴(幻聴とは聴覚の幻覚で、実在しないまぼろしの声や音が聞こえる症状です。「あいつバカだよね」など自分の噂をしている会話が聞こえてくる対話性の幻聴、「ご飯を食べています」など自分の行動を実況するような注釈性の幻聴、「自殺しろ」など命令性の幻聴まで様々です)
・妄想(妄想とは事実と反する思い込みを強く確信し訂正不能なものです。「水星に本拠地がある悪の組織に狙われている」のような途方もない妄想から、「義理の母に嫌がらせをされている」のような日常的に有り得る妄想まで様々です。その内容によって、被害妄想、関係妄想、注察妄想、誇大妄想などと分類もされます)
・まとまりのない、統合のとれていない思考、行動、発語
・考想化声(自分が考えていることが声として聞こえる体験)
・考想吸入(考えが自分の外部から吹き込まれる体験)
・考想奪取(自分が考えていることが他者に奪われる体験)
・考想伝播(自分が考えていることが外部に漏れ出て他者に伝わっていると感じる体験)
・させられ体験(自分の思考や、感情、行動などが他者によって操られていると感じる体験)
・妄想気分(周囲の世界が何となく異質に変化し、何か恐ろしいことが起こりそうに感じる体験)
・妄想着想(突然、例えば「私は神の生まれ変わりだ」などの考えが脈絡なく浮かび、それを確信する体験)
・妄想知覚(視覚、聴覚、触覚などの知覚に対して、例えば「神のお告げだ」などと脈絡なく特別な意味づけがなされ、それを確信する体験)
・独語・空笑(幻聴と会話しているためにみられる現象)
・不眠
・抑うつ
・活動性の低下
・感情の平板化
・引きこもり
・幻視(若い患者さんでしばしばみられます)
薬物療法としては主に幻聴や妄想に対して抗精神病薬が処方されます。
激しい幻覚妄想状態となっても、一過性に終わって完全に元の状態に戻り、「急性一過性精神病性障害」と診断されることもありますが、事後的にしか診断できません。
幻覚や妄想があるからといって統合失調症であるとは限らず、うつ病や双極症、自閉スペクトラム症、アルコールや薬物の影響、複雑性PTSDなども考えられます。
病識(自分が病気であるという自覚)がないことが多く、受診に繋げることが難しいことも少なくありませんが、昔と比べて軽症化しており、入院せず外来で治療を続け、働きながら日常生活を送れる方も多く、できるだけ早期に受診し治療を開始することが、その後の予後を改善させることがわかっています。