成人の神経発達症(いわゆる大人の発達障害)
昨今話題になって久しい成人の神経発達症(いわゆる大人の発達障害)ですが、特性が濃い場合は幼少期に診断されますが、淡い場合は大人になるまで気づかれないことも多くあります。
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの神経発達症(発達障害)を診断するにあたっては、チェックシートや心理検査はもちろん参考にはなりますが、それらで診断できるものではなく、あくまでも診察によって診断されるものです。「チェックシートの該当項目が多いからASDだ」、「心理検査の点数が基準より1点低いからADHDじゃない」というのは誤りです。
発達障害という名称はあたかもそれが単純にマイナスの要素であるという印象をつけかねません。実際にはこれらは発達の偏りであり、得意不得意の凸凹であり、個性であり、才能です。しかし、生きづらさを抱えている方が多いのは事実で、綺麗事では片付けられませんが、人類が太古の昔から存続させてきた特性でもあり、個人と社会環境の間に生じる問題と捉えることができます。
当院を受診される方の中にも、様々な濃度の神経発達症が色々な状況において精神症状と密接に関わっていると考えられることは多く、これを考慮することで症状や生活の質が改善することもあるため、とても重要な視点です。